現代心理学の誕生③【マズローの人間性心理学とトランスパーソナル心理学】

現代心理学の誕生として、大きく分けると、第1世代がジークムント・フロイトによる『深層心理学』。第2世代ではジョン・ワトソンに始まる『行動主義心理学』。

そして1950年代ころ、アメリカではアブラハム・ハロルド・マズロー(1908-1970)に代表される第3世代の『人間性心理学』と、もう一つ、人間性心理学の発展型として第4世代となる『トランスパーソナル心理学』が誕生しました。

 

マズローの心理学とは?

第1世代と第2世代は、【病理】から精神分析をすることで、客観的に科学として心理学を解いていたのに対し、マズローは【健康な人】を対象に、主観的でより人間性を重要視した心理学を解いたのです

マズローは『生きる』を主として、人間は『自己実現』がもっとも重要だと考えました。そしてマズローは【人間の欲求】に注目し、5段階欲求の階層モデルを提唱。

マズローの5段階欲求はピラミット構造で表現され、人間は下層の欲求が満たされることで、段階的に上位の欲求も目指すようになるというものです。

 

マズローの5段階欲求

 

第1段階:生理的欲求

人間が生きていくために必要な欲求のこと。例えば、「おなかが減った=ごはんが食べたい!」や「カラダが疲れた=寝たい!」など、本能的に求める欲求のこと。

日本では、普通にごはんも食べられ、疲れたら自分のお家で安心して寝ることができますが、現在でも紛争や内戦が激しい国や、飢餓や飢えに苦しんでいる国は「生理的欲求」すら満たされておりません。

第2段階:安全の欲求

生理的欲求が満たされると、次に「安心・安全な暮らし」を求めるようになります。例えば、雨・風がしのげる『家』を持ちたいとか、病気や事故から身を守ろうとする自身の安全や、今の生活を維持するため就職してお金を稼いだりする欲求のこと。

第3段階:愛と所属の欲求(社会的欲求)

安全の欲求が満たされると、次に「仲間がほしくなったり、集団に入りたかったり」と社会的欲求を求めるようになります。たとえば、家族がほしくなったり、会社に属してみたくなったり、自分と趣味が合うグループに入りたくなったりと、『孤独』の状態から『集団』へと欲求が移ります。

第4段階:自己承認の欲求(尊厳欲求)

愛と所属の欲求が満たさせると、次に「他人から認められたい、尊敬されたい」という欲求が芽生えてきます。他人から認められるために、知識を身につけようと勉強したり、セミナーに参加したり、お金持ちになって権力を持ちたかったり、自我の欲求が強くなります。

第5段階:自己実現の欲求

自己承認の欲求が満たされると、次に「あるべき自分の姿」、自分はこんな人間になりたい!と欲求が芽生えてきます。例えば「自分の能力を生かして、社会貢献したい」とか「後継者をたくさん育てて、日本をよくしたい!」など、自我の欲求から、他人への奉仕へと移ってきます。

多くの人から賞賛を浴びたい!とか、歴史に名を刻むような人物になりたい!は自我の欲求です。自己実現の欲求は自分のやりたいこと(目標)を自分でクリアする喜びを求めるようになります。見返りを期待しない『無償性』が特徴です。

 

 

自己超越目指す『トランスパーソナル心理学』とは

マズローはシャーマニズムや東洋思想や道教など【スピリチュアル】の影響を受け、自己実現を超えた『自己超越の領域』があると考えました。そしてマズローたちはその理論を発展させることで『トランスパーソナル心理学』を誕生させるのです。

トランスパーソナル心理学は、かつて宗教が『悟り』や『魂』など、近代合理主義が切り捨ててきた領域、近代科学として発展してきた心理学が取り扱わなかった領域に踏み込んだ心理学となります。

『トランス』とは【超える】ことで、『パーソナル』は【個人】を意味し、トランスパーソナル心理学は、個人の意識や行動の次元をさらに超越した、他人や人類、宇宙や天命といった高次元と自己とを精神統合することを目指す心理学。かつて宗教や哲学が担っていた分野であります。

トランスパーソナル心理学

 

 

マズローアブラハム・ハロルド・マズロー
(1908年4月1日-1970年6月8日)。アメリカ合衆国の心理学者。ニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリン区に生まれる。彼は人間性心理学の最も重要な生みの親とされている。これは精神病理の理解を目的とする精神分析と、人間と動物を区別しない行動主義心理学の間の、いわゆる「第三の勢力」として、心の健康についての心理学を目指すもので、人間の自己実現を研究するものである。彼は特に人間の欲求の階層(マズローの欲求のピラミッド)を主張した事でよく知られている。マズローは人間についての学問に新しい方向付けを与えようとしたが、彼の著作はそれ以上に内容豊かなものになっている。著書、雑誌論文は100編以上に及び、アカデミックな心理学のみならず、教育や経営学のような隣接領域にまで彼の思索は及んでいる。

 

まとめ

『マズローの5段階欲求』は、心理学以外に、事例としてマーケティングや自己啓発系など、現在では幅広い分野で多く応用されております。

日本も戦後は食糧不足ため、多くの人が『生理的欲求』が満たされておりませんでした。戦後の復興が進むと、生理的欲求から『安全の欲求』へと移り、そして経済成長に伴い『愛と所属』から『自己承認の欲求(尊厳欲求)』へと段階的に移ってきました。

しかし近年の日本はどうでしょう!?。貧富の格差により、就職もできない若者が増えています。貧困層が増えて、マンガ喫茶に寝泊まりするような「安全の場所」を確保できない人もたくさん存在しますいます。今の日本は『マズローの5段階欲求』でいうと、上昇から下降へと移り変わっている時代となりつつあります。

 

 

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